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 あいかわ公園〜宮ケ瀬ダム

平成15年5月2日
 いよいよ大連休 ゴールデンウイークである。
私は毎日が連休だが、それでもゴールデンウイークになると心が浮き浮きしてくる。
長年の習慣の条件反射である。
 旅ごころも騒いでくるが、高速道路は大渋滞、宿もない。
そこで日帰り、近場の観光地ということになるが、そんな穴場を紹介する。


あいかわ公園

 連休に家族サービスをするのは夫、父親の義務である。
道路や電車が混むからといって、家でごろ寝をしていては義務を果たしたことにならない。
家族サービスを怠れば、欧米では、婚姻契約の債務不履行で度重なれば損害賠償(慰謝料)と離婚の原因になる。
道路、電車、飛行機が大混雑するゆえんである。

 そんな強迫観念で「今度の休みはいつ?」と妻に聞く。
年中無休のところに勤めているから、休みは一定しない。
「2日の金曜日よ」という。
休みでも福祉のボランティアで忙しいが、連休中はボランティアもお休みらしい。
『じゃぁ、休みにに県立の「あいかわ公園」に行ってみない。つつじがとてもきれいだと思うよ。「あいかわ公園」から宮ケ瀬ダムに行くこともできるし』と妻を誘った。

 私が休みでも妻は仕事があるから日程の調整が必要である。
「ふーん」といってあまり気が進まないようである。
宮ケ瀬ダムだけなら何度も行っているからだろう。

 「それならそれでよし、一応声をかけたし」ということにする。
和戦両様、半身の構えである。



宮ケ瀬湖と丹沢の山  中央の木は樅の木。12月には、巨大なクリスマス・ツリーとなる。
(右に見えるのは水の郷大つり橋)




あいかわ公園から宮ケ瀬ダム


あいかわ公園から宮ケ瀬ダム

 2日の金曜日は、午前中は、さがみはら国際交流ラウンジの昼食会があった。
昼食会が終わって、午後から出かける。
相模原市から愛川町へ抜ける。
途中道を間違えて慌てるが、すべての道は、あいかわ公園につながった。

 「あいかわ公園」には、1時間ほどで着く。
ここから「宮ケ瀬ダム」まで歩いて15分、そこから「インクライン」や「エレベーター」でダムサイトの上部まで行く。
 「あいかわ公園」パークセンターから歩き始める。
途中、石小屋ダムや滝を眺める。
 
 ここは昔、「中津渓谷」として有名だったところ。
30数年前までのことである。
その頃は、愛川町の半原から清川村宮ケ瀬まで中津川沿いに渓谷があった。
川沿いの狭い道を何度も通った。
 夏は、清流で大勢の人が水遊びをした。
秋は紅葉の名所だった。
紅葉を見ながら、川魚の店で鮎の塩焼や沢ガニのから揚げを食べた。
中津川の河原には巨石でできた石小屋があった。
 鮎やヤマメの渓流釣りでも有名で大勢の釣り人が訪れた。
そんな釣り客のための釣り宿もあった。
 こういう商売の人たちは、ダム建設により立ち退くことになった。
貴重な観光収入も失われることになった。
この「あい川公園」は、ダム建設による地元愛川町の犠牲に対する代償の公園でもある。

 公園からダムまでの道を歩きながら、復元された石小屋や目の前の岩山を伝い流れる「大沢の滝」を見る。
川の向こう岸の高いところに狭い道がある。
昔、この道を通ったのかと思う。
新石小屋橋を渡り、第一発電所を経て、ダムサイト直下に着く。
 このコースは、中津渓谷の面影が残る新しい観光の名所である。
秋の紅葉の時期は、さぞすばらしいことだろう。

 ここからはダムサイト頂上まで「インクライン」で行く。
「インクライン」は、ダム工事中、ダム建設のためのコンクリートを運んだ施設。
 完成後はダムの上下を結ぶケーブルカーとして活用され、ダム見学の観光客を運ぶ。
昇降行程216メートル、高低差121メートル、乗車時間約4分、最大斜度35度、迫力のあるパノラマを楽しめる。
往復も片道も同額で1人300円である。
乗客の定員は46人と書いてあるが、私たちふたりだけである。
「エレベーター」を使えばタダだが、「インクライン」のほうが見晴らしがいい。
迫力もある。

 「インクライン」の乗務員の女性に「帰りのコースはどうしたらいいかな」と聞く。
『同じコースを帰ってもいいし、エレベーターも利用できます。歩いて「風の丘」を通りながらあいかわ公園に戻るのもいいです』と答える。
 彼女が「こちらのほうが見晴らしがいいですよ」と窓のそばの場所を勧めてくれる。
たしかに直下にダムを見下ろすすばらしい展望である。


復元された石小屋と大沢の滝


宮ケ瀬ダム

 ダムサイト頂上はたいへん広い空間で両側の展望がすばらしい。
「水とエネルギー館」の施設もあってダムについての知識を増やすことができる。
展望塔やダム管理所の展望ルームから湖やダムを眺める。
ダム管理所は工事中何度も来た。
そのころ、神奈川県の大きな出先機関の部長をしていた。
事務所は厚木にあった。
管内状況の視察で工事関係者の説明やガイドの案内を受けた。
シャトルバスでここまで来て、ガイドが説明をした。
そんな回想にふけりながらあちこち見て回る。

 最後に来たのは、平成4年の12月。
「インクライン」で練ったコンクリートを運び、ダム本体の上に積み重ねていく。重量式のダムだから、膨大なコンクリートが必要である。
固まるときに熱を放出するということで水で冷しながらコンクリート打ちをする。
 視察が終わって家に帰ると夜中に腹が痛み出した。
だんだんと痛みが激しくなる。
救急車で病院に運ばれた。
痛み止めの応急手当をし、翌日、胃カメラとエコーで検査する。
胆石症である。
胆嚢に石ができ、胆嚢も駄目になったという。
一晩苦しんだ挙句、手術をした。
胆石だけでなく、胆嚢も取ってしまった。
今の胆石の手術は、ハイテクで簡単だが、当時はまだ一般的でなかった。
ハイテクの場合は、放射線で胆石を破砕したり、手術でも、小さな穴をあけ、ガスで膨らまし、内視鏡で覗きながら手術をやる。
傷が小さくて痛みも少ない。
入院日数も少ない。
難点は、大学病院クラスの大きな病院でしかできない。
保険の適用もないということである。
手術に保険の適用がなかったら莫大な医療費になる。
 私はローテクの手術にした。
大きく腹部が切開され、傷跡も大きい。
手術中はそれほどでもなかったが、麻酔が覚めた後の痛みの凄かったこと。
集中治療室で「痛いよ 痛いよ」と夜じゅうわめいた。
ダム管理所の展望ルームに立っているとだんだんと腹が痛くなってくるような気がする。

 それはともかく、すばらしい展望である。
1度ならず2度、3度、季節を変え、相手を変え来てみたい所である。
 交通はわりと不便である。
小田急本厚木駅やJR横浜線橋本駅からバスがある。
本厚木駅からの便数はあるが、橋本駅からの便数は少ない。
橋本駅からは2時間に1本くらいである。
マイカーで行くに限る。
マイカーならいいドライブコースである。 

 妻に「いいだろう、いいだろう」と何度もいう。
妻も「そうね」という。
しかし、「ダムはいいけど、つつじはどこにあるの?」と聞いてくる。
「もうすぐだよ。これから行くよ」ととりあえず返事をする。
 帰りは、エレベータを使ってもいいし、インクラインをまた使ってもいい。
しかし、私はダムの反対側から回りこんで「あいかわ公園」に抜ける道を取った。
回遊コースで無駄のないコースである。
それに昼にカロリーの多い食事をしたから歩く必要もある。
 宮ケ瀬湖やダムを眺めながら新緑の中を歩く。
湖を取り巻く丹沢の山は、南山、高取山、仏果山である。
天気はよし、風も爽やか、たいへん快適な気分のいいコースである。
きれいな黄色の花がたくさん咲いている。
「あれは山吹ね」と妻がいう。
「花はきれいだけど実はならないらしいよ」と答える。
やがてあいかわ公園の「風の丘」。
風薫る5月、空青く、新高ヘ目に爽やかである。

目に青葉 山ホトトギス 初鰹

歩いているとうぐいすの鳴き声が聞こえる。



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